生きる力をみにつける

9月最初の日曜日に、「子供の簿記講座」を開催した。

ファイナンシャル・プランナーの佐藤文昭さん,清原俊之さんをお呼びして,簿記の要素を取り入れた、お小遣い帳の進化バージョン的な講座を開催した。

お小遣い講座はほかにもある。しかし、内容はいくらお小遣いを渡すか,お小遣い制なのかお駄賃制なのか、どんなルールを作るか、お買い物ごっこなどで終わる。親から目線の講座が多いと感じていた。たしかに,お金の出入りの記録としてはよいものではある。子供と親との間のお小遣い攻防対策にはよいかもしれない。しかし,それでは火消しで終わっていないだろうかと思っていた。

お金の出入りをみる。お金の動きをみたうえで,自分は何をしようか何ができるか。自分がしたい行動をするために,どのくらいのお金が必要で,いつまで,どのように集めていくか。こういったことを子供でも考えることができる講座があると,アクティブラーニングになっていいですね… という私のわがままなアイデアに,佐藤さんと清原さんが応えてくださった今回の講座。

一時間目は佐藤さんによるアイスブレイク。「お金についてどう思うか話してください。」との質問に対して、子供たちの意見はまっすぐだった。

「びみょう」「はっきりとわからない存在」「まだあまりわからない」

これはまさしく、多くの大人がもつお金にたいするイメージと同じである。

お金の話は外でするのがタブーと聞かされ育った。お金はあるにこしたことはないが、いざとなると賢い使い方がわからない。何を、どのように、いつ計画したらよいかわからない。ましてや、未知の世界である投資なんて、こわいと思ってしまう。

お金の使い方は、家庭で教わるものと考える人は確かに多い。しかし、実際にはほとんどの親がお金に関する教育をうけていないのが実態ではないだろうか。商業高校、専門学校、大学の商学部か経営学部に進まない限り、社会に出る前に、簿記やお金の使い方を学ぶチャンスはないことになる。

今回の講座の内容はまさに簿記の考え方そのもので、小学生の子供たちにどのくらいわかってもらえるか少々ドキドキした。しかし、お子さんをお持ちのパパでもある簿記有資格者の清原さんの講座は、子供たちにとって他人ごとではないものだった。

ようは、内容が子供たちにとって身近で面白いのである。お小遣い帳をもとに決算書もつくった。勘定科目が子供目線の、実際に子供たちが使ったり増やしたりする内容になっている。

低学年は、あるがままに受け止めていた。貸借対照表もすんなり理解した。そっか、おれのおもちゃは買ったら資産として考えるんだというようにである。高学年になると、結構奥深く読み込んでいて、いろいろ考えているなあと感心した。

前回の「親子でお金のお話」の講座でも感じたことだが、子供たちの吸収力・分析力・理解力は大人が思うよりはるかに深かった。子供だから決算書なんて、などと思い込む必要はない。子供の目線に落とし込めば、みんな理解するのだと実感した。

2時間の講座中、誰も走り回ったり泣き出したりしなかった。これは、子供にとって講座の内容がおもしろいから。自分にとって役に立つから。だから、真剣に聞く。親も一緒に真剣に聞く。

実際、講座後のコメントに、内容がおもしろかった、自分のお小遣い帳にも反映するというのがあった。

学校でも塾でも教わらない,生きる力を鍛える内容の講座をこれからも可能な限り開きたいと思っている。

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